「子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)って女性だけが打つもの?」
「詳しい接種スケジュールや何回打つのか知りたい」
ヒトパピローマウイルス(HPV)が引き起こす病気は、女性の子宮頸がんだけではありません。近年の研究や臨床現場において、男性・女性を問わず、のどの奥にできる「中咽頭(ちゅういんとう)がん」の多くがHPV感染と深く関連していることが判明しています。
当院の院長は頭頸部外科医として長年がん診療に携わってきた経験から、HPVワクチンは「子宮頸がん予防」だけでなく「のどのがん(中咽頭がん)を予防するための重要な手段」として捉えております。今回は、効果・接種スケジュール・男性接種の重要性・名古屋市の公費助成について詳しく解説します。
1. HPV(ヒトパピローマウイルス)と中咽頭がんの関係
HPVは、性交渉を経験する男女であれば誰もが感染する可能性のあるごく身近なウイルスです。
女性の子宮頸がんの原因として知られていますが、近年ではのど(中咽頭)に発生するがんの多くがHPV感染に起因していることが分かっています。
- HPV関連中咽頭がんの特徴: お酒やタバコを吸わない若い世代・中年層にも増えている
- 発生部位: のどの奥(扁桃腺や舌の付け根など)
- 予防効果: ワクチン接種によりウイルス感染を防ぐことで、将来的な中咽頭がん発症リスクを下げることが期待できます
2. 当院の取扱ワクチン(シルガード9)と接種スケジュール
当院(かめじま耳・鼻・のどクリニック)では、HPV感染予防カバー率が最も高い(約80〜90%)9価ワクチン「シルガード9」のみを取り扱っております。(※過去に2価または4価で途中まで接種された方の交互接種・完了対応も可能です)
接種を開始する年齢によって必要な接種回数・スケジュールが異なります。
💉 ① 15歳未満で初回接種を開始する場合(計2回接種)
小学校6年生〜14歳のうちに1回目の接種を行う場合、計2回で完了します。
【標準スケジュール】
・初回接種(1回目)
・2回目:1回目から6ヶ月後(最低5ヶ月以上の間隔が必要)
💉 ② 15歳以上で初回接種を開始する場合(計3回接種)
15歳以降(高校生・キャッチアップ対象世代・大人など)に開始する場合、計3回の接種が必要です。
【標準スケジュール】
・初回接種(1回目)
・2回目:1回目から2ヶ月後(最低1ヶ月以上の間隔が必要)
・3回目:1回目から6ヶ月後(2回目から最低2.5ヶ月以上の間隔が必要)
※当院での自費接種料金(任意接種):30,500円(税込) / 回
(名古屋市の小学6年生〜高校1年生相当の女子、キャッチアップ接種対象年齢の女性は無料で接種を受けることができます)
3. 男性のHPVワクチン接種について(任意接種)
「男性も打った方がいいの?」というご質問をよくいただきます。当院では男性の接種も非常に強く推奨しております(自費任意接種)。
👨🦱 男性が接種する2つのメリット
- ご自身の中咽頭がんや肛門がん、尖圭コンジローマを防ぐ: 男性にとっても、のどのがん等のリスクを減らす確実な予防手段となります。
- パートナーへの感染を防ぐ(集団免疫): 男性が感染源とならないことで、大切なパートナーを子宮頸がんリスクから守ることにつながります。
4. 名古屋市の公費助成(定期接種・キャッチアップ接種)
当院は名古屋市の委託医療機関です。名古屋市に住民登録がある対象の女性の方は、公費助成により全額無料で接種いただけます。
※名古屋市の公費制度では2価・4価・9価のいずれも全額公費(無料)対象ですが、当院では高い予防効果を発揮する「9価(シルガード9)」を導入・接種しております。
| 区分 | 対象となる方 | 費用 |
|---|---|---|
| 定期接種(女性) | 小学6年生〜高校1年生相当の女子 | 無料 |
| キャッチアップ接種(女性) | 平成9年度〜平成19年度生まれの女性 | 無料 |
【持ち物】 シール式接種券、本人確認書類(マイナ保険証または資格確認書等)、母子健康手帳(お持ちの方)
5. よくある質問
接種時の痛みを減らすため、リラックスした体勢で接種を行い、接種後15〜30分程度は院内で座って安静にしていただくなど、安心・安全な環境を整えています。
標準的な接種間隔を超えてしまっても、最初からやり直す必要はなく、残りの回数を順番に接種していけば完了します。間隔が空いてしまった場合も、諦めずに当院までご相談ください。
1回目や2回目に他院で2価・4価ワクチンを接種された方でも、公費制度を利用して残りの回数を当院で9価(シルガード9)に変更して接種することが認められています。
基本的には自費診療となりますが、当院では男性の方への単回・複数回接種(シルガード9)にも対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
すでに一部の型のHPVに感染していたとしても、ワクチンに含まれる未感染の他の型の感染を防ぐことができるため、接種する意義は非常に大きいです。
HPVワクチンは不活化ワクチンのため、医師が判断すればインフルエンザワクチンや新型コロナワクチン等と同日に同時接種が可能です。
6. まとめ:自分自身と大切な人の未来を守るためのワクチン
HPVワクチンは、子宮頸がんだけでなく、頭頸部外科領域の重大な病気である「中咽頭がん」から身を守るための貴重な予防策です。まさに「自分自身と大切な人の未来を守るためのワクチン」と言えます。
頭頸部外科医としての専門的な知見から、女性はもちろん、ご自身やパートナーを守りたい男性への接種も自信を持ってお勧めいたします。対象年齢や接種スケジュールについてご不明な点がございましたら、お気軽に当院までご相談ください。